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2016.10.18
「JAPAN-GP2」この経験を未来に生かす
■大会名 2016 FIM MotoGP™ 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ
■開催日 [予選]2016年10月15日(土曜) 天候:晴れ コース:ドライ
[決勝]2016年10月16日(日曜) 天候:晴れ コース:ドライ
■観客動員数 8万8472人(3日間合計)
■開催場所 栃木県・ツインリンクもてぎ(1周=4.801379km)
■ライダー Moto2™クラス:浦本修充
■マシン Moto2™クラス:KALEX
■結果 Moto2™クラス:予選/29番手(1分52秒966) 決勝/21位
全日本J-GP2クラスをリードしている浦本修充が世界に挑戦したら、どのレベルにいるのか。そして単に参戦するのではなく、今の日本のレース界にとって何が足りないのかを明確にするためにも「JAPAN-GP2」プロジェクトを立ち上げ、多くのチーム、関係者が賛同し協力してくださいました。そして一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)に働きかけたところ「Moto2™ワイルドカード支援制度」を設けてくれました。こうして今回の日本グランプリMoto2™クラスへの参戦が実現しました。しかし世界という壁は、そう甘いものではありませんでした。
事前に2度、テスト走行を行いましたが、ドライで走れた走行では転倒があり、2度目は、ハーフウエット。実際にレースで使うエンジンは、木曜日に渡されるだけに未知な部分が多々存在しました。目標は、15位以内に入りポイントを獲得することでした。それでもトップから約1秒というところだ。しかし、走り始めると、現実が見えて来ます。ライダーの浦本もそうですが、チームにとっても初めて走らすマシンだけに、その特性を学びながらセッションを進めて行かなければなりません。一方、レギュラーメンバーは今回がシリーズ15戦目。すでに14レースを終えて日本に来ているだけに、走り始めから驚異的な速さを見せます。それは予想していましたが、実際にコースを一緒に走ることで、そのレベルの高さを目の当たりにします。
金曜日の1本目の走行では、1分54秒698で29番手、2本目は1分53秒013まで詰めるものの25番手。予選では、確実にタイムが上がることが予想され、さらにタイムを縮めるために、マシンセットを大きく変えることにしました。しかし、これがいい方向に行かず、土曜日のフリープラクティス3では、タイムを落としてしまいます。マシンを見直し、浦本はライディング面での課題をクリアすべく公式予選に臨みます。ここで意地を見せ1分52秒台に入れますが、周りもタイムアップしポジションは29番手と変わらず世界の壁が立ちはだかる結果となりました。
今年の日本GPは、天気に恵まれ決勝日も青空が広がりました。23周で争われたMoto2™クラス。浦本は、スタートでやや出遅れ最後尾で1コーナーに入って行きます。序盤は転倒やコースアウトするライダーも多く、23番手を走っていました。レース終盤には、オープニングラップに転倒したアレックス・リンス選手が追い上げて来ると、数周だけバトルを展開。本調子ではないものの、タイトル争いを繰り広げているライダーと走れたことは、大きな財産となりました。そしてチェッカーフラッグを受け21位で完走という結果を残しました。
◎浦本修充ライダーコメント
「まずは、多くの皆さんのおかげで世界にチャレンジできたことを感謝いたします。ノントラブルで走らせてくれたチームにも御礼を言いたいです。不甲斐ない結果でしたが、この経験を糧にして、自身が、もっともっとレーシングライダーとして成長して行くことが恩返しになると思っていますし、レースに対する取り組み方から変えて行かないといけないと思います。それを周りにも伝えて行きたいですし、その見本になるような行動をしたいです。」
◎武田雄一Moto2™監督コメント
「日本GPに参戦したことでチーム力やマシンなど持っているものや走らせ方の違いを痛感しました。浦本には、もっと走りに集中できるように組み立ててあげればよかったと反省しています。全日本J-GP2クラスでは、確実にトップにいるライダーが、このリザルトだという現実を日本のレース界に分かってもらい、全日本最終戦鈴鹿で、この参戦が無駄ではなかったことを見せて行きたいと思っています。」
◎加賀山就臣総監督コメント
「まずは、このプロジェクトに賛同いただき支えてくださった皆さんに感謝いたします。目標は、15位以内ポイント獲得というものでしたが、ライダーはもちろん、チーム、マシンでのレベルの違いは、参戦してみないと分からないものがありました。目標には届きませんでしたが、ワイルドカード参戦の道標を作ることができたと思います。来年、再来年と続いて参戦するであろう全日本の若手ライダーに、受け継いでもらいたいですね。そして現状を変えて行くためにも、2輪業界、そしてメーカーにご協力いただき、ライダーが育つ環境を作って行きたいと思っています。」