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  • スズキ・アジアン・チャレンジ、大雨の中でレース1開催!

    加賀山就臣がプロデュース・監修するスズキのライダー育成プログラム「スズキ・アジアン・チャレンジ(SAC)」の3年目のシーズンがマレーシアのジョホール・サーキットで開幕した。SACが組み込まれているFIMアジアロードレース選手権 (ARRC) の開幕戦とともに開催となるが、このSACは1イベント2レースが行なわれることとなる。

    スズキ・アジアン・チャレンジ(SAC)は、昨年まで使用していたサトリアF150から、同じ150㏄ロードモデルであるGSX-R150へマシンを変更。このマシンを使用したイコールコンディションでのワンメイクレースである。世界に通用するライダーを輩出するべく組まれたプログラムには、レースマナーなどローカルなレースとは一線を画すものとなっており、この初戦ではそのマナーに戸惑うライダーもいるが、前年から継続して参加している選手らも積極的にコミュニケーションを取っていることもあり、初戦からクリーンなレースを展開することができた。

    この2017シーズン最初の2回のレースのグリッドを決める予選セッションは午前11時30分から30分間。前日の練習走行の2回目が豪雨のため中止となったものの、練習走行1回目の記録を全ライダーがさらに縮める結果となった。昨年この同じジョホール・サーキットで行なわれたSAC開幕戦のポールタイムが1分59秒352だったが、10台がこのタイムを上回り、このマシンの性能差はもちろん、このライダーたちのレベルの高さも証明することとなった。

    1分57秒660のポールタイムを出したのは、#16 April King H. Mascardo(エイプリル キング・マスカルド/フィリピン)選手。昨年もSACに参加しており、昨年のSACの予選で初めて2分を切るタイムを出したのが彼であった。フロントロウには、前日のトップタイムをマークした#11 Ahmad Saugi Muchtar(アーマド・サウギ・ムクタル/インドネシア)選手が2番手(1分57秒723)に、そしてエイプリル選手と引っ張り合ってタイムを削っていた#22 Eane Jaye Solacito Sobretodo(イーアン ジェイ ソラシト・ソブレトド/フィリピン)が1分58秒053で3番手に並んだ。

    そして、この日の午後、ARRCの各レースは決勝レース1を迎えることとなった。すでに雨が降り始めていたものの、なんとか持ちこたえていたものの、SACのレース直前になって本格的に雨が降り出し、路面は完全なウエットでレースを迎えることとなった。

    レースはサイティングラップを1周増やし、その分レースを1周減算した7周で行なわれることとなりスタート。まず2列目5番手スタートの#76 Chepy Armansyah Suryadi(チェピ アルマンシャ・スルヤディ/インドネシア)選手がトップに立ちレースを引っ張る。しかし、2周目に入り後続を引き離そうとプッシュしたタイミングと、雨が強くなったタイミングとが、重なり縁石に乗ってスリップダウンし戦線離脱。代わって、#11サウギ、#27 Nur Alfath Sam Ahmad(ヌル アルファッ サム・アーマド)、#46 Aaron Alexander Gunawardena(アーロン アレクサンダー・グナワルデナ)の3選手がトップ争いを展開。レースも後半に入った残り3周の時点で、このトップ集団に追いついたのが、11番手スタートの#29 Mario Borbon Jr.(マリオ・ボルボンJr.)選手。その勢いのまま、トップに立ったものの、トップ集団から抜け出すまではいかず、4台によるトップ争いは最終ラップまでもつれ込んだ。結果、最終ラップ最終コーナーを真っ先に立ち上がったのが、マリオ選手であった。

    昨年もこのSACに参戦しているマリオ選手は、2016シーズン最終戦のレース2でも優勝しており、2連勝となった。2位に#11サウギ選手、3位には#27 アルファッサム選手という結果となった。続くSAC開幕戦レース2は、4月2日午前11時30分にスタートとなる。

    Mario Borbon Jr.(マリオ・ボルボンJr.) | #29
    「今日のレースは、雨も降っているし、11番グリッドからのスタートだったので、ただひたすら集中してできる限り前に出ることだけを思ってレースに挑みました。毎ラップ前へ行くことだけを努力し、レース後半になって先頭集団に追いつくことができました。こんなに強い雨の中で走ったことは初めてですし、非常に怖かったけれど、前に行くことだけに集中したおかげで優勝することができました。今シーズンはいいスタートが切れたと思います。今年こそは、このまま勝ち続けてチャンピオンを獲りたいと思います」

     

     

     

     

    加賀山就臣 | ゼネラルマネージャー
    「昨年のサトリアF150と比べて予選で大幅にタイムを上回ることができました。今年のスズキ・アジアン・チャレンジ(SAC)の若いライダーがGSX-R150のポテンシャルをしっかり引き出してくれたと思います。
    決勝レースは、残念ながらレース直前に雨がひどくなりウエットレースになってしまいましたが、この滑りやすいコンディションを各選手たちはうまく乗りこなしいいレースをしてくれました。すでにSACの経験のあるマリオ選手はその経験値が勝利につながったのだと思います。
    明日はレース2ですが、ドライでレースをさせてあげたいですね。ご支援ご協力いただいている皆さまには、ぜひとも明日のレース2も応援をよろしくお願いいたします」

     

     

    八代俊二 | ライダーコーチ
    「レースは残念ながらウエット路面になってしまい、コンディションの難しいレースでした。転倒車も2名出ましたが、あの雨の中で2台だけということを考えると、選手たちはよく頑張ったと思います。優勝をしたマリオは、ベテランらしいレース展開で、レース後半に一気に追い上げて逆転優勝と成りました。そして2-3位には新人の2名が入り、SAC経験者もウカウカしていられない、そんな勢いを感じました。経験者のひとりである弱冠13歳のアーロン選手は僅差の4位で非常に悔しがっていましたが、結果は残念ですが、こういう経験も時には必要です。次のレースも期待しています」