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2017.12.3
プンチャナが3位に入り、最終レースを待たずに、SAC2017年のタイトル確定
加賀山就臣がプロデュース・監修するスズキのライダー育成プログラム「スズキ・アジアン・チャレンジ(SAC)」が組み込まれているFIMアジアロードレース選手権 (ARRC)は、8か月にわたって行われてきた2017年シーズンの最終戦をタイのチャン・インターナショナル・サーキットで迎えた。
2015年に発足し、3年目のシーズンを迎えたこのSACシリーズは、世界に通用するライダーを輩出するべく組まれたこの若手育成プログラムで、アジア各国から選ばれたライダーが参戦している。今シーズンは現在インドネシアで生産されているスズキGSX-R150を使用している。
SACは1イベント2レースが行なわれるスケジュールとなっており、この最終戦も、12月2日(土)にレース1およびレース2に適用となるグリッドを決める予選が開催され、その後レース1、そして3日(日)にレース2が行なわれることとなる。
今シーズンは、これまで4戦8レースが行なわれ、#29 Mario Borbon Jr.(マリオ・ボルボンJr./フィリピン)、#16 April King H. Mascardo(エイプリル キング・マスカルド/フィリピン/2勝)、#17 Fujita Tetsuya(藤田哲弥/日本)、#78 Punchana Kulrojchalalai(プンチャナ・クルロジチャラライ/タイ/3勝)の4名のSACライダー、そして第4戦のゲストライダー、#1 Jefri Tosema(ジェフリ・トセマ/インドネシア)という5名の勝者が誕生している。鈴鹿の2レース、そしてインドネシアで勝利したプンチャナがタイトルに大手を掛けた状態で、母国タイ戦を迎えている。
前日の練習走行から好調なのが、ランキングトップのプンチャナ。第2戦の予選ポールタイムを練習走行1回目から上回り、さらに練習走行2回目でも、そのタイムからコンマ2秒削って、好調さをアピール。そして2セッション共に2番手には、今回ゲストライダーとして参加している、#18 Patis Chooprathet(パティス・チョープラテット/タイ)が入り、地元タイ勢がトップを占めた。パティスは、2015年にこのSACに参加し、2016年には加賀山就臣がゼネラルマネージャー兼チーム監督を務めるTeam KAGAYAMA SUZUKI AsiaからARRCのSS600クラスに参戦を果たしていた。
北東の風が強くなり、前日とはコンディションが異なることとなったこの日、午前10時25分からスタートした予選セッションでも、やはり、地元タイ勢が速かった。特にプンチャナは、前日のベストタイムをコンマ6秒更新する2分13秒402でトップ。ゲストライダーのパティスは、2分16秒フラットと逆に記録更新ならなかったが、3番グリッドを獲得した。このタイ人2人に割って入ったのが、今シーズン唯一の日本人ライダーである藤田。プンチャナに次ぐ、2分14秒886のタイムで、2番グリッドを獲得。
そして迎えた午後4時10分、全7周で行なわれるSAC第5戦レース1はスタートした。ホールショットを奪ったのはポールポジションスタートのプンチャナだったが、後続を引き離すことは叶わず、レースはほぼ全車が大きな集団となって走行を展開。今回もオープニングラップから常に目まぐるしくトップが入れ替わり、その大きな集団のまま最終ラップに突入。最終コーナーを真っ先に抜けてきたのは、タイのパティス。最終コーナーの進入でトップに立っていたエイプリルが2位に入り、3位にプンチャナという結果となった。このチャン・インターナショナル・サーキットでは、過去3年間でこれまで11レースが行われてきたが、タイ人が優勝したのは、今回が初めて、である。
ランキング2位のエイプリルが2位に入ったものの、プンチャナは16ポイントを獲得し、見事2017シーズンのタイトルを獲得した。SAC第5戦のレース2は、12月3日(日)午前11時20分にスタートする。レース距離はレース1と同じ7周となる。
Patis Chooprathet(パティス・チョープラテット)| #18
「今回こそは、自分のベストで走ろうと思っていたので、レースで3位までには入りたいと思っていたけれど、今日のレースは上出来でした。SACで初めてタイ人としてこのチャンのサーキットで勝ててうれしく思いますし、誇りに思います。今シーズン、プンチャナはもちろん、皆レースはうまいので、明日の決勝レースでも、行けるポジション、タイミング、ポイントをうまく噛み合わせて、また1位を獲れるように頑張ろうと思います」Punchana Kulrojchalalai(プンチャナ・クルロジチャラライ)| #78
「レースウィークに入ってから、練習走行、予選セッションまでうまくいきました。ポールポジションからのスタートでしたが、集団から出ることはできず、最終ラップはあまりいいポジションにつけることはできなかったので、3位は今日できるベストポジションだったと思います。優勝でチャンピンを決めたかったのですが、接触や転倒などが怖いので無理をせずに走りました。明日はチャンピオンが獲れたので、明日は自分の走りをしたいと思います」加賀山就臣 | ゼネラルマネージャー
「今日のレースも、クリーンなレースで、転倒者もなし、それでいてバトルもしっかりあって、見ている側にとっても面白いレースをしてくれました。また、彼らの成長が見ることのできたレースでした。タイラウンドで、SAC初のタイ人チャンピオンが決定するというエキサイティングな内容でした。シーズンを通してよく頑張っていたプンチャナ選手にはおめでとうと言いたいです。また、今回も応援していただいた関係者およびスポンサーの皆様には感謝いたします。明日は今シーズン最後のレースとなります。プンチャナ選手にはチャンピオンらしい戦いをしてほしいですし、他のライダーは、この新チャンピオンに挑戦するレースをしてほしいと思います」
八代俊二 | ライダーコーチ
「今回は最終のレースを待たずにチャンピオンが決まりました。レースの最初から最後まで駆け引きが繰り返されるレースで、接触が一回ありましたが、転倒者がいなくて、明日につながるレースとなりましたし、無事に終わってホッとしています。チャンピオンを獲ったプンチャナにはおめでとうと言いたいですし、パティスもタイ開催レースでタイ人初優勝となったこともよかったと思います」